2024/06/10 06:48

アジは夏の季語で、多くの句で読まれてきました。「活鯵や江戸潮近き昼の月」(小林一茶)は、初夏が旬である活鯵を食べることが楽しみであることを書いた句です。アジは1年中獲ることができますが、5~7月が旬です。この時期に獲れるアジは小ぶりですが、質が良いといわれています。アジの多くはマアジで、北海道から沖縄まで、日本全国で獲ることができます。鮮魚売り場で「アジ」と書かれていたら、ほぼマアジと考えられます。
新鮮なアジは、まずは刺身でいただくのがおすすめです。良質な魚の脂もしっかり味わえ、アジのうまみを楽しめます。なめろう、塩焼き、アジフライでも楽しむことができます。なめろうとは千葉の郷土料理で、たたいた魚の身を味噌、ネギ、しょうがのみじん切りなどと混ぜ合わせて、なめらかになるまでたたいて作ります。
◯カンパチ(間八)
カンパチは成長につれて名前が変わる出世魚です。関東では、35cm以下をシオッコ、35-60cmをシオゴ、60-80cmをアカハナ、80cm以上をカンパチと呼びます。名前は地域によって異なります。一年中水揚げされますが、6~9月頃が旬です。特に梅雨から夏にかけてのカンパチは脂がのり、最もおいしいといわれています。天然物は九州を中心に水揚げされ、流通量が少なく貴重です。
カンパチはまず刺身で食べることがおすすめです。熟成度合いにより食感が変わります。獲れたてはコリコリとした食感ですが、1~2日ほど冷蔵庫で保存したものは身がやわらかくなります。カルパッチョ、漬け丼、照り焼きにして楽しむこともできます。
◯アナゴ(穴子)
アナゴは、ウナギと似ていますが、全く異なります。ウナギは淡水域に生息していますが、アナゴは海水域に生息しています。アナゴの旬は、6~8月頃の「梅雨穴子」「夏穴子」です。梅雨の増水で流れてきた、豊富な栄養分を含んだエサを食べているのでおいしいと言われています。脂が少なく淡泊でさっぱりとした味わいが特徴です。この時期の穴子は、天ぷらにして食べるのがおすすめです。
なお、10~12月頃のアナゴも旬ともいわれています。脂がのって、身もぷりぷりしています。春に産卵するために抱卵しているためです。こってりとコクがあり、ウナギに近い味わいです。冬穴子は煮穴子にするとおいしいといわれています。